より良い人生を生きる

日々、試行錯誤中です。

定量調査の進め方

少し前になりますが、ユーザー調査を実施して色々と学ぶことがあったので、まとめておきます。

これから新しくサービスを立ち上げる方や、立ち上げたサービスを更に改善していきたい方に読んでいただきたいです。

サービスや事業を設計していく場合、通常、定量調査で外観を掴み、深掘りする箇所の当たりをつけたうえで、グループインタビューなどの定性調査で詳細化していきます。今回は、その前半戦を対象としています。

また、定量調査にもいくつかやり方があるかと思いますが、大部分を占めると思われるweb調査を対象としています。

最終的には、調査会社を通じて調査を依頼することになりますが、調査会社任せにしていては良い結果は得られません。しっかりと得たい結果を得るために、気をつけるべきポイントをお伝えします。

前置きが長くなってしまいましたが、始めていきます。全部で10ステップです。

 

 

目的とゴールを決める

まずは調査の目的を明らかにします。新サービスを立ち上げたいのか、webの新コンテンツを作りたいのか、アプリの機能要件を決めたいのか、などなど。

そして、その目的に向けて、調査後にどういう状態になっていれば良いかのゴールを決めます。例えば新サービスの立ち上げであれば、「仮説を置いてるサービスの中から筋が良いものが特定され、市場のポテンシャルが見えている状態」、アプリの機能要件決めであれば、「仮説を置いてる機能のニーズと主な使い方が特定されている状態」などです。

ゴールと目的を決めなければ、この先に迷いが生じた時に、何に基づいて決めれば良いかわからなくなります。論点が出てくるたびに、目的に立ち戻り、ブラッシュアップしていく必要があります。

 

聞きたいことを洗い出す

次に、ゴールにたどり着くために、知りたい内容を具体的に詳細化していく作業です。

最初から体系化されていなくても良いので、とにかく気になる論点を書き出します。そして、グルーピングしていくなかで、徐々に体系化していきます。

いきなり設問の形で並べていく必要はなくて、「これが分かったら役に立ちそうだな」と思うものは全て、箇条書きで並べていきます。

 

聞きたいことを設問として並べる

洗い出した項目について、実際に質問形式で聞く場合の表現を考えていきます。

言葉足らずのところがあれば、具体的な表現を加えていきます。

最後にあらためてユーザーの立場でチェックはしますが、ここである程度、答える側の立場に立って設問を具体化していくと、後々の作業が楽になっていきます。

 

各設問の答え方を決める

大きくは、以下の3つのパターンから最適なものを設問毎に選んでいきます。

  • 選択肢形式、単一回答
  • 選択肢形式、複数回答
  • 記述形式

どの答え方が良いかは、本当にケースバイケースです。

例えば、ある問いに対して、実際に複数を選択することが起こり得るのであれば、選択肢形式の複数回答が良いでしょう。

また、実際に複数を選択し得たとしても、決め手を聞きたいような場合は、単一回答が良いでしょう。

具体的な改善点のアイディアを聞きたい時には、記述形式を使うのが良いです(これはもはや、定量ではないですが…)。

ただし、記述式が成り立つのは、回答数が1000件以下の場合にするべきです。これ以上増えると、分析・集計作業が莫大になってしまい、結局は有効活用できない結果になるためです。

 

選択肢としての仮説を洗い出す

選択肢形式の設問については、選択肢一つ一つの妥当性を考える必要があります。

なるべく、選択肢間で重複なく、全体として網羅されている状態を目指します。

また、例えば利用頻度や価格帯などを聞く時に、一つの選択肢に大半のボリュームが集まってしまわないよう、うまく当たりをつけて分解することも重要です。

 

設問数を調整する

予算との兼ね合いで、オーバーする場合には、設問に優先度をつけて、優先順位の低いものから落としていきます。

もしくは、一つの設問の中に複数のニュアンスを混ぜ込めないか、聞き方で工夫できないかを考えます。

例えば、二つの軸の掛け合わせで聞く時には、一つの質問に纏めてしまって、何のサービスをどんな頻度で使ってますか?などと聞いて、サービス×頻度のマトリックスとして纏めていく、というやり方があります。

 

各設問の結果がアクションに繋がるかチェック

聞いたは良いが、それで?何するんだっけ?となるような設問は、聞かない方がマシです。基本的には、設問数が増える度に、回答者数は減っていくので、不要な設問は減らすに越したことはありません。

単に自分の興味で聞きたい設問なのか、その先のアクションに繋がる設問なのかは、しっかりと見極める必要があります。

 

設問の順番をチェック

設問の一つ一つを精査していく前に、全体として問題ないかを確認します。

具体的な観点として、例えば以下のようなものです。

  • 全体として、流れができているか?
  • 同じテーマで分類されているか?
  • 概要から詳細を順に聞いているか?
  • 各設問間での粒度は揃っているか?

違和感があれば移動させてみて、また流れを確認して、の繰り返しで、最適な設問順を決めていきます。

 

読みやすさをチェック

答える側の立場で、「実際に自分が答える立場なら何て答えるか?」を考えながら、チェックしていきます。

要するに、誤解なく聞きたいことを答えてもらえそうかを確認していくのですが、具体的な観点としては、例えば以下のようなものです。

  • 用語の意味は注釈無しで伝わるか?
  • 図や表があった方が良いか?
  • 分かりやすい日本語表現ができているか?
  • 文中に点が多く、冗長過ぎないか?
  • 複数の解釈が生まれないか?
  • 設問間で表記揺れしてないか?

これを怠った場合には、データの精度が格段に低くなる可能性が出てきてしまいます。一部の人が設問を誤解して、聞きたいことと違うことを答えている、という状態になるためです。

せっかくあと一歩のところまで来ているのに、一部のデータによって、全データの信憑性がなくなってしまうなんて、非常にもったいないです。

ブログの記事も同じだと思いますが、アンケートについても、読み手の時点でチェックすることは絶対に必要なステップです。

 

取りたいデータとなるかチェック

前項で、答える側の立場で考えてチェックしたことにより、若干の修正が入った場合、ニュアンスによっては、本来取りたいデータと違う答え方をされる可能性が出てきてしまいます。

そこで、最後にあらためて、その聞き方で聞いた時の答えが、目的に沿うものとなりそうかを最終確認していきます。

既に何度も目を通して推敲を重ねてきた設問たちであり、そこまで見なくて大丈夫!と思ってしまいそうになりますが、最後まで気を抜いてはいけません。

回答を得てから、「やっぱりこう聞きたい!」となっても、取り返しがつかないからです。入念過ぎるほど確認するぐらいが、ちょうど良いのです。

 

まとめ

10ステップで順に書いてきましたが、実際には、それぞれを行き来することになると思います。

観点として足りているかのチェックシート的に使ってもらえれば幸いです。

この記事によって、皆さんの定量調査が少しでも良いものになれば幸いです。