段取り力を鍛えたいあなたへ!段取りが悪い原因7個と対策21個
本日は、段取り力について書きます。
これまで、10社で分担して進めるシステム開発案件の進捗会議を運営したり、歓送迎会や結婚式二次会などの宴会を企画したりと、段取り力を試される場が山のようにありました。
何度も失敗してきましたが、確実に、段取り力は身についてきていると感じます。明らかに、段取り力は後天的な能力と言い切れます。
しかし、少しでも油断して準備を怠ってしまうと、未だに失敗することがありますので、自戒を込めて書きます。この記事が、少しでもあなたの段取り力向上に役立つことを願います。
「段取り力」 とは何か?
まずは「段取り力」自体について考えます。
一言で表現すると「抜け漏れなく準備する力」だと思っていますが、もう少し具体化していきます。
「段取りが悪い」とはどういうことか?
大きく3つのパターンに分けられます。
- 当日の準備が足りてない
- スケジュールが途中からタイトになる
- 日々タスクに追われている
1.は、例えば会議であれば、必要なデータが足りない、資料の枚数が足りない、そもそも紙が必要なのに印刷できていない、など。
飲み会であれば、音響がない、プロジェクターの投影がずれている、二次会のお店が抑えられいない 、など。
2.は、元々のスケジュールから度々後ろ倒しされていく、途中から大きなタスクが追加される、期限間近でタスクが全然終わっていないことに気付く、など。
3.は、日々の仕事が残業続き、飲み会の開始に間に合わない、設定した締め切りにも間に合わないことがある、など。
「段取りが悪い」のはなぜか?
いずれのパターンについても、以下のいずれかの原因が当てはまるはずです。
- 目的やゴールを明確にできていない
- タスクを洗い出せていない(リスク対策含む)
- 見積もりが甘い
- 協力者への依頼の仕方が悪い
- 手戻りが多い
- スケジュール管理ができていない
- タスク管理ができていない
「段取り力」がある状態とは?
「段取りが悪い」と言われる原因をすべて潰せている状態が、「段取り力」がある状態と言えます。
- 目的やゴールが明確
- タスクを洗い出せている
- 期限が適切に設定されている
- 役割分担が適切にされている
- 手戻りがない
- スケジュール管理ができている
- タスク管理ができている
これらのうち、1つでも達成できていないものがあると、「段取りが悪い」となってしまいます。
そのため、「段取り力」を身につけるためには、1つずつ、上記の全てをマスターする必要があります。
以降、これらをマスターするための具体的な方法を書いていきます。
「段取り力」を上げるには?
上で書いた7個の「段取りが悪い」原因を潰すには、どうすれば良いか?各項目につき3個ずつ、順に説明していきます。
目的やゴールを明確にするには?
- 目的を文字に書き出す
- 当日の次のステップを考える
- 関係者全員で合意する
1.まずは書き出すことです。当たり前の話ではあるのですが、意外とさぼってしまうことが多いので、強調しておきます。頭の中で、なんとなく考えている目的でOK!としてしまいがちなのですが、絶対にさぼらず書いた方が良いです。
書くことで、何を目指すべきなのかが洗練されますし、後続の作業においても、ブレずに意思決定できます。圧倒的に、費用対効果が高いです。
2.続いて、1.で文字にした目的が、その先のステップにどのようにつながっているのかを確認します。そうすることで、当日のことだけを考えていたら見えなかったことも、見えてくることがあります。
よく、レンガ職人の例えが使われますよね。「レンガを積んでいる」「教会を造っている」「人々に感動を与え続ける」どう考えるかで、その後のパフォーマンスも変わってきます。
3.更に、複数の人が関わる案件であれば、関わる人全員で合意しておくことをお勧めします。人によって観点が違うので、議論になることはあると思いますが、その先には、更に研ぎ澄まされた目的が得られます。
また、目指す先が統一され明確になるだけでなく、一体感が出て進めやすくなるという副次的な効果もあります。
タスクを全て洗い出すには?
- 当日の様子を最初から最後まで想像する
- 過去事例を集める
- インプットとアウトプットを意識する
1.最も有効なのは、当日の最初から最後までを想像し、文字に書き起こしていくことです。
結婚式の二次会幹事や、何かの説明会や講習会をやる時なんかは特にそうですが、1分刻みのタイムスケジュールにまで落とすと、確実です。
想像する際に、なるべく「もしも~だったら…」を多く問いかけることで、リスク対策も進みます。何事も、「計画は悲観的に、実行は楽観的に」です。
2.一度、経験したことがある種類のものであれば、想像するだけで、ある程度は何が必要かは見えてくると思います。しかし、中には全く経験したことがないようなものもあると思います。
その時には、いさぎよく、過去に経験した人から事例を聞く、資料をもらうのが有効です。
前職のアクセンチュアでは、これが組織的に仕組化されていて、プロジェクト推進→ナレッジ化→DBに蓄積→次の人が検索して参照→プロジェクト推進…という流れのなかで、様々な難しい案件をみんなで段取り良くこなしていました。
3.これは少し細かいTipsになりますが、「作業」を洗い出そうとして見えてこないことも、「物」を意識することによって見えてくることがあります。
期限を適切に設定するには?
- 普段からPDCAを回しておく
- 作業を適度に分解しておく
- タスクを実施する人が決める
1.「この作業には●時間かかるはず」→「実際には●時間かかった」→「差分の原因は●●だ」→「次からはこの作業を●時間で見積もろう」この繰り返しです。
普段から、これができている人は、やったことがない案件がきても、ある程度は予想して、適切に見積もることができるはずです。
ドラッカーも言ってますが、まずは自分が何にどれぐらいの時間を使うのかを把握することは、段取り力に限らず、重要です。
また、特に案件の規模が大きければ大きいほど、想定外の出来事が必ず起こります。きつきつの期限設定としていた場合には、吸収できないので、余裕を持たせておくことも必要です。
2.有名な人が言っている通り、「一見、解決できないように見える大きな課題も、分解すれば解ける」です。作業も同じで、大きなものは、分解しておくのが有効です。
例えば宴会の企画を考える場合、「目的を考える」→「情報収集する」→「ブレストする」→「企画案を決める」→「詳細を詰める」というように分解し、それぞれをいつまでに終わらせるかを決めておくことで、着実に進めていくことができます。
3.タスクを実施する人が決める、これは、複数人で役割分担する場合のTipsです。人から決められた期限だと、守られない&言い訳が発生しやすいので、なるべく本人に「いつになりそうか?」を聞いて決めるのがお勧めです。
トップダウンで決めるとしても、その人がいる場で、一緒に決める、タスクを進める本人の納得感を持てるように決めるのが有効です。
役割分担を適切にするには?
- タスクの主担当は1人
- 開始/完了基準を明確にする
- 思い切って任せる
前提として、役割分担と言えば、「適材適所」が原則かと思いますが、それは当然のこととして、それ以外のTipsを挙げています。
1.主担当を2人以上設定すると、作業が進まないことがあります。お互いに、お見合いしてしまう可能性があるためです。
そのため、必ず1つのタスクの責任者は1人に決めておくことをお勧めします。
2.開始/完了基準の明確化。これは、AさんからBさんにタスクを受け渡す必要がある場合に、認識のずれをなくしておく、ということです。
例えば最近だと、販促チラシを作成しているのですが、「企画」→「デザイン」→「製造」と進むなかで、「企画」はどこまでなのか?の認識がずれていると、紛糾してしまいます。
単に目的とメッセージラインだけを指しているのか、ある程度、画像配置も含めたラフなイメージ図までできている状態なのか。計画を立てる時点で、決めておくべきです。
3.思い切って任せる。これは私自身が非常に苦手なことなので、自戒を込めて書きます。自分が思っているほど、自分にしかできないことは無いのです。任せば誰でもできるようになるので、早めに任せた方が絶対に良いです。
任せる時には、きちんとタスクの意義、目的、そのタスクをやることによって得られるもの、どのように成長できるか、など本人にとってのメリットも合わせて伝えると、やる気が上がってクオリティも上がります。
手戻りなく進めるには?
- 要所で関係者と合意する
- タスク間の依存関係を考える
- 合意した内容は証跡として残す
1.最も代表的な手戻りは、ある程度の形ができた後で、「これ、イメージと違う」と上から言われることです。
一緒に案件を進める人の特性を見極めることも重要ですが、少しでも何か意見を言われる可能性がある場合には、具体的な作業を進める前に、手書きでも良いので合意しておくことを推奨します。「誰に確認を取っておく必要があるか」もしっかり考えておく必要があります。
何度も確認することで、進むのが遅くなるというデメリットもありますが、手戻りを起こすよりは圧倒的にマシです。
2.続いての手戻り代表例は、「この方針でやるなら、この作業要らんかったやん!」というもの。上流の工程が決まっていないのに、下流の工程を進めてしまうパターンです。
そうならないようにするためには、計画を立てる段階で、タスク間の依存関係を明確にしておき、これを決めた後にこれをやる(これを決めた後でないとこれが開始できない)、と決めておくことが重要です。
3.最後の手戻り例は、一度決まったことを後から覆される、というものです。
それを防ぐには、関係者全員にメールしておくなど、証跡を残しておくことが重要です。
また、なぜそう決まったのか、決まった理由についてもしっかり合意しておくことも、後から手戻らせないためには有効です。どう考えても、「えいや!」で決めるより、網羅的・論理的な理由で決めた方が、手戻りは減ります。
スケジュール管理を適切にするには?
1.システム開発の用語の一つに、QCDというものがあります。Quolity(品質)、Cost(お金)、Delivery(期限)、この3つはトレードオフであり、トータルでバランスが取れている必要がある、という概念です。
普段の段取りで、コストをトレードオフにすることはなかなかないと思いますので、考えるべきは、品質と期限です。
想定外の出来事が発生し、スケジュールが押してきた場合には、品質を維持してまでタイトなスケジュールで進めるのか、削って良い品質がどこかにあるのかは、絶対に考えるべきです。
2.実物を見る。これは複数人で進めていて、人に任せた場合のTipsです。
「順調ですよ」という言葉ほど、危ないものはありません。必ず実物を見て確認することを推奨します。
3.マイルストーンとは、「この時点で、ここまでできてないと、やばい」というタイミングのことです。
進捗の確認も、頻度が多過ぎるとしんどくなるので、要所に絞って確認していくことが重要です。
タスク管理を適切にするには?
- 前日のうちにタスクを洗い出しておく
- 飛び込みタスクに優先順位をつける
- 時間を決めてやる(ダラダラしない)
この部分については、皆さんそれぞれ、自分なりの有効なやり方があると思いますので、細かな説明は割愛します。
私の場合は、この3つが特に苦手で、さぼらずにやれば確実に管理できるものを、ついついやらずに、ダラダラと時間を過ごしてしまうことが多いです。
まさに「Doing Knowing Gap」で、知っていることと、できることは違う、ですね。書くことによって、自分を律していきたいと思います。
まとめ:段取り力を鍛えるためにやるべきこと
段取り力は、以下の質問に順に答えることでチェックできます。まずはこのチェックリストで、段取りが悪い原因を突き止めてみてはいかがでしょうか。
- 目的やゴールは明確か?
- タスクは洗い出せているか?
- 期限が適切に設定されているか?
- 役割分担が適切にされているか?
- 手戻りがないか?
- スケジュール管理ができているか?
- タスク管理ができているか?
1つでも「No」がある場合には、その部分について、徹底的に鍛えることをお勧めします。
思いつきで書いた部分もありますので、これからも適宜アップデートしていきます。ぜひ一緒に段取り上手を目指しましょう。